What is リモート ✕ ✕

全てのクリエイターが、
場所の制約から解放され、
国や言語の壁に阻まれず、
キャリアの継続を諦めなくても良い。
好きな場所から、好きな仕事を。
そんな世界を目指した
スプラッシュトップ×ワコム
共同プロジェクトです。

きっかけは、
映像制作会社からのリクエスト

2020年、ワコムにある映像制作会社からのリクエストが届きました。

「ワコム製のペンタブレットと電子ペン、リモートで使用できませんか?」

当時、世の中はコロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言により、多くの企業にとって、リモートワークへの移行が喫緊の課題となっていました。中でも、映像制作の現場では、特殊なソフトやデバイスを使用することが多く、リモートツールの導入だけでは追いつかない場面も多々あったのです。

リクエストを受けたワコムは、映像制作業界にヒアリングを行い、複数のリモートツールを検証し、スプラッシュトップに連絡をしました。当時のSplashtopでは、電子ペンは通常のマウスと同様の認識しかできず、イラストを描くことはもちろん、文字を書くことすらできませんでした。

2社の技術を組み合わせたら、
スタートが見えてきた!

ここから、ワコムの技術提供を受け、Splashtop Inc.や台湾支社で開発を行い、同年中には電子ペンによる筆圧・傾きの感知に成功しました。

筆圧・傾きの感知は可能になったものの、次に課題となったのは“遅延”です。走らせたペン先に、描いた線がうまく追従できないのです。しかし、当時のSplashtopは既に60fps/秒の画面転送を実現しており、遅延はインターネット環境に大きく左右されました。

ここで登場したのが、ワコムが開発していた「Project Instant Ink(後のMercury Inkline)」です。これは、追従が遅れている部分にラインを補うことにより、遅延を感じにくくさせる機能です。この2つの機能を組み合わせたことにより、リモート✕クリエイティブのスタートがようやく見えてきました。

最初の実証実験は、
スタジオカラー

さて、どうにか形になってきましたが、私たちはクリエイターではありません。本当の使い心地は、私たちには判定できないのです。
ここでご協力いただけたのが、庵野秀明氏率いる映像制作会社 スタジオカラーです。
同社の執行役員兼技術管理統括の鈴木慎之介氏と取締役兼デジタル部 デザイナーを務める小林浩康氏をお迎えし、NTTドコモの5Gネットワークを使用した実証実験を行いました。

コネクテッド・インク 2021の様子

MEC×リモートの
可能性を探って

スタジオカラーとの合同実証後も、より精度を上げるために様々な可能性を探りました。そのひとつが、MECを活用したリモート✕クリエイティブです。5G環境の下、Mercury Inkline未搭載のワコム製ペンタブレットとSplashtopEnterpriseCloud(以下、STEC)を使用して、クリエイターレベルでの実証と課題の洗い出しを行いました。

ここでご協力いただいたのは、『バンドリ!』シリーズの制作でおなじみの株式会社サンジゲンです。同社のシステム開発部・システム管理 セクションマネージャーの中村公栄氏先導の下、同社のアニメーターの方々にご協力いただきました。その結果、映像制作では最も重要と言っても過言ではない“色味”に問題がありました。グラデーションが表現できず、YUV444規格まで向上できたら可能性があると助言をいただきました。その他の映像制作会社からも音ずれの指摘がありました。

私たちは早速US本社に伝え、開発に着手しました。そして、現在ご提供しているSTEC最新版では同機能をデフォルトで搭載しています。

最新の
リモート✕クリエイティブ
体験を、
3DCG制作の現場で

いただいた指摘を改善し、新たな実証実験に進みます。今度は、“色味”や“音ズレ”の改善をした最新のSTECを使用して、Mercury Inklineを搭載したワコム製ペンタブレットのリモート操作です。使用した回線は、前回同様NTTの5G。そして、実証にご協力いただいたのは、のちに大ヒット作となる『THE FIRST SLAM DUNK』の制作真っ只中だったダンデライオンアニメーションスタジオです。映像制作室 室長兼テクニカルスーパーバイザーの西谷浩人氏と採用広報の山崎拓哉氏により、同スタジオにて検証を行いました。

最初の実証実験では、それでも遅延があり、現場での使用は難しそうとのコメントをいただき、早急に改善を図りました。2回目の実証実験では、無事に遅延もクリア!笑顔でコメントをいただけました。同年のコネクテッド・インクのステージでは、ダンデライオンアニメーションスタジオとワコム、そしてスプラッシュトップの3社でこの実証実験をレポートしました。

コネクティッド・インク2022の様子はこちら

実証実験の様子

What’s next?

これまでの道のりでも、多くの皆様にご協力いただき、ようやくたどり着きました。関わってくださった全ての制作会社の皆様のご協力がなければ、絶対に実現できませんでした。

「ただ、操作できる」ではなく、「ストレスなく、操作できる」を実現するのは、正直、簡単なことではありません。しかし、快適な“リモート×クリエイティブ”を、当たり前に提供できるようになるまで、私たちの挑戦は続きます。

実は現在も、新しい開発に着手しています。その全貌は、追ってご紹介していきます。